2010年4月21日水曜日

【速報】笹岡啓子『PARK CITY』、2010年日本写真協会新人賞受賞


昨年末に小社より写真集『PARK CITY』を刊行いたしました写真家・笹岡啓子さんが、「日本写真協会新人賞」を受賞しました。受賞展が来月開催されます。日本写真協会のウェブサイトに載っている受賞理由、受賞展情報を転載いたします。

▼2010年日本写真協会賞受賞者

新人賞 笹岡啓子

「広島」の現在を鋭く凝視しその公園化・形骸化を警告する意欲作『PARK CITY』。風景を見ることの困難を引き受け、地道に対象と向き合う制作姿勢は若い世代の中でも傑出しており、新人賞にふさわしい

▼2010年日本写真協会賞受賞作品展

会場:富士フイルムフォトサロン/東京 スペース1
   東京都港区赤坂9-7-3 1F Tel.03-6271-3351
会期:2010年5月28日(金)〜6月3日(木)
   10:00〜19:00(最終日14:00)
入場無料/会期中無休

今週末、東京と京都でジュネ『シャティーラの四時間』関連公演

すでに当欄でもご紹介済みですが(こちらこちら)、一部省略して再掲。ジャン・ジュネ『シャティーラの四時間』の刊行、いましばらく掛かります。お待ちいただければ幸甚です。

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「地点」公演
「誰も、何も、どんなに巧みな物語も」

日時:2010年4月22日(木)〜25日(日)(22日・23日:19時30分開演/24日・25日:17時開演)
会場:京都芸術センター・フリースペース
料金:一般前売2500円・当日3000円(全席自由席)

テクスト:ジャン・ジュネ「アルベルト・ジャコメッティのアトリエ」「……という奇妙な単語」「シャティーラの四時間」
構成・翻訳:宇野邦一
演出:三浦基
出演:安部聡子・山田せつ子

http://www.chiten.org/

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モレキュラーシアター
演劇「Ballet Biomechanicaバレエ・ビオメハニカ」公演

日時:2010年4月24日(土)開場18時半/開演19時〜20時、25日(日)開場14時半/開演15時〜16時
※追加公演:25日(日)開場12時/開演12時30分〜
会場:早稲田大学演劇映像実習室(戸山キャンパス36号館)
入場無料(ワンステージ40名限定。事前予約受付中。)
事前予約・問合せ:早稲田大学演劇博物館

演出・構成・美術:豊島重之
出演:大久保一恵・田島千征・四戸由香・秋山容子・高沢利栄
テクスト:メイエルホリド『モスクワ演劇人集会における演説』(作品社・ベストセレクション・亀山郁夫訳)『最後の演説』(同書・桑野隆訳)『年表』(同書・浦雅春訳)/ケルジェンツェフ『よそ者の演劇・異質な演劇』(プラウダ紙・鴻英良訳)/ベンヤミン『モスクワ』(ちくま学芸文庫・コレクション3・久保哲司訳)/ジュネ『シャティーラの四時間』(近刊・鵜飼哲訳)ほか

http://www.enpaku.waseda.ac.jp/kyodo/activity/20100424.html
http://sites.google.com/site/moleculartheatre/nextevent/bb2010

【速報】『ゴダールの社会主義』(仮邦題)5月19日よりフランス公開

カンヌと同時に一般公開、というパターンですね。ソースは以下(フランス語)など:
http://www.culture-cafe.fr/site/?p=1348

【追記】
上掲の記事をざっと訳出してみました。(……)の割愛は、よく分からなかった箇所ですすみません。

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『ゴダールの社会主義』ウェブでは高速版が
2010年4月17日
クリストフ・グルエ

2004年の『アワーミュージック』以来、スクリーンから遠ざかっていたゴダールが、さきごろのアントワーヌ・ドゥ・ベックによる浩瀚な伝記の刊行を追い風にして、来たるべきカンヌ映画祭「ある視点」部門で、最新長篇作を披露する。「三楽章からなる交響曲」と銘打たれた本作『ゴダールの社会主義』は、一見無関係な独立した三部構成をとおして、21世紀をめぐる問い、怖れ、そして希望を行き渡らせる。パティ・スミス、そして様々に物議を醸す哲学者アラン・バディウが、重要な役割を本作で演じている。また、ゴダールのパートナーであるアンヌ=マリー・ミエヴィルが共同監督を部分的に務めた。

劇場用の予告篇にくわえ、ゴダールは今回、5種類の予告篇をウェブ用に製作した。そのうちのいくつかは映画本篇が早送りで使われている。一篇にいたっては、本篇全体が再利用されている。4分強のこの圧縮版は、1時間41分の本篇を25倍速で流したものだ。ブライアン・デ・パルマ監督作品『ファム・ファタール』の際などにもすでに使われている手法だが、今回のゴダールはこれを極限にまで押し進め、早送りされた音だけをサウンドトラックに用いている。

(……)『ゴダールの社会主義』は、5月19日からフランス各地の劇場で公開される。



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【さらに追記】
つまりは現時点で公開されている情報はほとんどないわけですが(上掲記事の「25倍速」という記述の根拠も「4分/101分」という単純計算だけの気がします)、日本語版Wikipediaの当該項目には、それらの限られたソースをもとに、すでに詳細な記述が載っております。公開時には全スクリプトが載っちゃいそうな勢いです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/ソシアリスム

2010年4月17日土曜日

【速報】『ゴダールの社会主義』(仮邦題)カンヌ映画祭上映決定


第63回カンヌ国際映画祭、「ある視点」部門での公開です。ソースは、以下のプレスファイル:
http://www.festival-cannes.fr/assets/File/Web/DOSSIER%20DE%20PRESSE%202010/Dossier%20de%20Presse%20ANG(6).pdf

これによるとタイトルはFILM SOCIALISME、上映時間は1時間41分の由。100分越えか(『映画史』を除けば『ウラジミールとローザ』[1970年製作]以来???)。

エリセがコンペ審査員に入ってますねなどなど、ほかの情報については上掲のPDFで各自ご確認ください。映画祭は5月12日から。しつこいようですが、仮邦題は当ブログが勝手に付けているものですので為念。

【追記(4/19)】上のポスター画像は以下からです:
http://www.vegafilm.com/vega-film/en/films/film-socialisme/

2010年4月16日金曜日

ブックフェア「本の島」@青山ブックセンター本店

青山ブックセンター本店にて、今週から以下のブックフェアが開催されています。文芸書のコーナー、棚5本を使ったフェア。小社のタイトルも7点ほどエントリーいただいております。『瞬間の山』の左隣にはオリヴェイラのフライヤーが置かれていたりして、そのあたりも青山BCらしいです。フェアに連動したトークイベントも準備中の由。

以下は、担当の書店員の方のメッセージと棚の写真(クリックすると大きくなります)。下3枚は、本フェアの発端となった「オマージュ津田新吾」の棚。ここに並んでいる青土社の本(棚板がグレーの範囲)はすべて、津田さんが編集に携わられたものです。小社の本よりもこのたびはそちらにこそご注目いただきたい──というのは半ば個人的表明として。

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ブックフェア「本の島」
青山ブックセンター本店

昨年50歳の若さで逝去された、元・青土社の名編集者、津田新吾さんの手がけた本を揃えた棚にはじまり、今福龍太さんの『群島−世界論』で言及された本たちをベースにしてつくられた棚へとつながっていくブックフェア「本の島」。


本の、肉体も魂も愛しぬき、そして本に愛された津田さんが、写真や文字のレイアウトまで、どこまでも吟味しつくした美しい書物のかずかずと、ル・クレジオや宮沢賢治、エドゥアール・グリッサンなどが並んだこの場所にあるすべての本がつながって、洗いざらしのすがすがしい空気と、ふしぎな陶酔感にあふれる「本の島々」をかたちづくっています。


また、吉増剛造さんが題字を書き、管啓次郎さん、野崎歓さん、堀江敏幸さん、田中三蔵さん、今福龍太さん、冨原眞弓さん、前田英樹さん、関口涼子さん、鄭暎惠さん、宮地尚子さん、小池寿子さん、西口徹さん、鵜飼哲さんから寄せられた追悼文を集めた、小冊子の展示も行っています。


「一冊、一冊の本はそのままひとつひとつの島で、島と島が集まって列島をかたち作り、その列島にわれわれの心が住みつく。」管さんの書かれた、津田新吾さんへの文章のなかの一節です。

本の島は、すべての場所、すべての人々に向かって開かれています。

2010年4月14日水曜日

『写真年鑑2010』『写真年鑑2009』書評記事など


冒頭に「写真は森羅万象を記録し表現するが、本書はその写真を記録し表現するものである。その期間は2009年1月1日から12月31日とする。」と掲げられた、『写真年鑑2010』(発行:スタジオレイ/発売:日本カメラ社)に、小社から刊行した写真集関連の記事がいくつか掲載されていましたので、抜き書きご紹介。以下、敬称略。

▼「インタビュー特集「2009」」

港千尋(インタビュー・構成:高橋義隆):「女優エマニュエル・リヴァの『HIROSHIMA 1958』の写真を見出す」
《この一連の仕事を振り返ってどのように総括していますか?──「強烈な体験でした。言葉を変えて言うと、人類学的体験といいますか写真の不思議さがまたひとつ増えたというか、わからなくなったというのが正直なところです。(…)」》

▼「写真集・書籍2009/書評」

飯沢耕太郎(写真評論家):『小島一郎写真集成』
《(…)やや悲劇的な色合いに染め上げられた後半生だが、「津軽」「凍ばれる」など、ロマンティシズムとリアリズムが結合した独特のコントラストの強い作品群は、死後もずっと高い評価を受け続けてきた。本書はその小島のほぼ全作品を一冊におさめたもので、同美術館の学芸員の高橋しげみによる力のこもった論考「北を撮る──小島一郎論」とともに、今後の研究の基礎資料となっていくだろう。》
(引用者付記:「小島のほぼ全作品」とありますが、収録を見送ったものもむろん多数あります。展覧会出展作品の「ほぼ全作品」ではありますが。また、「死後もずっと高い評価」というのも見方が分かれるところかもしれません。)

前田恭二(読売新聞記者):『PARK CITY』笹岡啓子写真集
《タイトルの「公園」は広島平和記念公園のこと。つまり記憶のための空間を中心に抱えた都市として、広島を撮ることを意味している。そのことはただちに、ヒロシマの写真史を引き受けることをも意味しよう。山端庸介をはじめ、記憶という命題は写真とともにあった。本書所収のテキストで倉石信乃が指摘する通り、ヒロシマは写真都市なのである。加えて近年、奇妙な転倒が兆していたことも見落とせない。長きにわたる戦後を経る中で、写真作品のために記憶を探し求めるふるまいがまま見られなかったか? 本写真集はそのような写真史に対峙する位置にある。むろん、記憶のための空間のただ中に分け入り、なおかつ命題を対象化し得る距離を保持することは容易ではなかっただろう。広島への再訪を重ねながら、笹岡啓子は双方を適宜、個々のカットに振り分けるのではなく、一つひとつの写真において、針の穴を通すような繊細さで両立している。力業と呼ぶべきだろう。》

▼「アンケート:評者12人の「2009写真ベスト3」」

金子隆一(写真史家/写真評論家):『小島一郎写真集成』
《(…)これ自体が展覧会を離れて小島一郎という稀有な写真家の世界を、展覧会を見られなかった人も十分に理解することができる内容を持つものであると確信できる1冊である。》

小林美香(写真研究者):『小島一郎写真集成』
《(…)作品集、資料としても非常に高い価値のある一冊。凍てつく高い空の豊かな階調や、ビル・ブラントの作品との類縁性をも感じさせる独特のプリント技術、点数は僅かながらも挿入されているカラー写真の独特な色合いに眼を奪われる。》

竹内万里子(批評家):『PARK CITY』笹岡啓子写真集
《広島生まれの写真家が、広島をめぐる時間的・表象的な距離を果敢に凝視しつづけた力作。》



ついでに、昨年刊行の『写真年鑑2009』の記事もご紹介しておきます。

▼「写真集・書籍2008/書評」

大日方欣一(写真史研究者):『HIROSHIMA 1958』エマニュエル・リヴァ写真集
《(…)リヴァのカメラ・アイが綴った一群の魅力的な光景がここに半世紀の時を超え初めて公開された。川沿いに暮らす人々の場所をたどり、そこで遭遇した大人や子どもたちと眼差しの通信をかわしあう。くつろぎと好奇心、幾ばくかの諦念が入り混じるかのようだ。》

▼「アンケート:10氏による「2008写真ベスト3」」

島原学(写真研究者):『小島一郎写真集成』
《(…)写真集としてみても、見事な仕事というしかない。青森県立美術館の高橋しげみさんは、戦後という時代のなかで小島一郎の抱えた葛藤とジレンマ、そのなかで一枚一枚取り進めた歩みを詳細にフォローし、死者とじっくり対話されている。その結果、時代と写真と写真家がみごとに立ちあらわれている。行き届いた仕事だと思う。》
(引用者付記:『小島一郎写真集成』は2009年1月10日発行ですが、2008年の作物とご記憶の方が多いようでして。)

『愛の小さな歴史』書評@WEBスナイパー(ばるぼらさん)


あまりに意外な媒体だったので、思わずブラウザをキャプチャしてしまいましたが、「WEBスナイパー」(←職場での閲覧にはご注意を。何に注意かは申すまい)に、港千尋著『愛の小さな歴史』の書評が掲載されています。評者は「ばるぼら」さん(「ばるぼら」氏をどう紹介すればいいのか私には分からないので、各自お調べください。「ネットワーカー」と言っても、それなに?となるし……)。

《(…)本書は「エマニュエルが撮らなかったこと」の存在を最後に示す。エマニュエルと彼女に関わった人々に著者がまなざしを向けたことによって描写が可能になったマイクロヒストリーがある。そして読者は『愛の小さな歴史』というタイトルに気付く。タイトルからはまったく想像の出来ない内容で、しかしタイトルは確かに本書を的確に要約している。「愛」と「小さな歴史」が、それぞれ単一ではなく幾重にもなって積み上げられた構成は、読み終わってようやくなるほどと思う。(…)》

とても良い書評だとおもいます。ぜひご一読ください。以下のURLが直リンクです。

http://sniper.jp/008sniper/0084review/post_1696.php

間村俊一インタビュー@『アイデア』最新号


いい笑顔ですなあ。というわけで、『アイデア』最新号(340号)に、装幀家・間村俊一さんのインタビューが掲載されています。前号から始まったデザイナーへのインタビューシリーズ「越境のかたち」の第2回。聞き手は戸塚泰雄さん。全8ページ。小社の書籍はすべて間村さんの装幀、(写真集を除き)カバー写真は港千尋さん。小社のことも記事内で紹介されています。見出しだけ挙げておきましょう:

 演劇ポスターと同人誌
 山猫軒の絵師
 無理なくきれいな文字
 活版の圧力
 たまや
 加藤郁乎と塚本邦雄
 無機的なぶつかり
 転機
 鶴の鬱

で、なぜか、「間村氏による書き下ろし」という俳句6句も載っております……。

聞き手を務められている戸塚さんは、あの『エクス・ポ』『ヒアホン』を手掛けられた方。最近では『ロスジェネ』4号(最終号)のブックデザインも彼の仕事(前号までとあまりにデザインが違うので、なんだろう?と思ったよ)。ご自身で雑誌『nu』を編集・発行されています。「越境のかたち」前回(339号)のインタビュイーは秋山伸さんで、本をfoldし整序することへの主体性の問題(そんな言葉遣いではありませんでしたが)が、インタビュアーとインタビュイーとでまるで逆の立場で主張されていて、なかなか興味深いものでした。

ボラーニョ『野生の探偵たち』出版記念講演会

小社と関わりのふかい方が登壇される、ということでご紹介。小社では、野谷さんには『エル・スール』の翻訳を、柳原さんには『霊と女たち』の校閲を務めていただき、また、お二人には別の翻訳書も目下ご準備いただいております(なにかはまだひみつ)。

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世界本の日記念
翻訳本出版記念講演会:ロベルト・ボラーニョ『野生の探偵たち』

日時:2010年4月23日(金)19時から
場所:セルバンテス文化センター東京・B1オーディトリアム
講演者:野谷文昭・柳原孝敦・松本健二
入場無料・要予約

http://palabras.jp/
http://palabras.jp/2010/世界本の日:『野生の探偵たち』/



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世界本の日って何かと思ったら、サン・ジョルディの日のことでした。『野生の探偵たち』は白水社より、柳原孝敦・松本健二訳で間もなく刊行予定(上巻下巻)。

メイエルホリド歿後50年/復権55年:モレキュラーシアター公演「バレエ・ビオメハニカ」

以下の公演を紹介します。

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モレキュラーシアター
演劇「Ballet Biomechanicaバレエ・ビオメハニカ」公演


日時:2010年4月24日(土)開場18時半/開演19時〜20時、25日(日)開場14時半/開演15時〜16時
※追加公演:25日(日)開場12時/開演12時30分〜
会場:早稲田大学演劇映像実習室(戸山キャンパス36号館)
入場無料(ワンステージ40名限定。事前予約受付中。)
事前予約・問合せ: 早稲田大学演劇博物館

演出・構成・美術:豊島重之
出演:大久保一恵・田島千征・四戸由香・秋山容子・高沢利栄
テクスト:メイエルホリド『モスクワ演劇人集会における演説』(作品社・ベストセレクション・亀山郁夫訳)『最後の演説』(同書・桑野隆訳)『年表』(同書・浦雅春訳)/ケルジェンツェフ『よそ者の演劇・異質な演劇』(プラウダ紙・鴻英良訳)/ベンヤミン『モスクワ』(ちくま学芸文庫・コレクション3・久保哲司訳)/ジュネ『シャティーラの四時間』(近刊・鵜飼哲訳)ほか

▼アフタートーク
「ハエを呑みこむ口が、ハエの口に呑みこまれるにはどうすればいい」
2010年4月25日(日)16時〜18時
同会場にて/事前予約80名限定
出席:塚原史・鴻英良・豊島重之

http://www.enpaku.waseda.ac.jp/kyodo/activity/20100424.html
http://sites.google.com/site/moleculartheatre/nextevent/bb2010

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4月28日(水)まで早稲田大学演劇博物館にて、「メイエルホリドの演劇と生涯展 没後70年・復権55年」が開催されており、その関連企画です。上掲ボールド箇所の通り、テクストのひとつに小社刊行予定『シャティーラの四時間』が使用されるということもあり、ご紹介する次第。今回のモレキュラーは「入場無料」とのことです。

ワールド文学カップ@紀伊國屋書店新宿本店

紀伊國屋書店新宿本店の2階で、「ワールド文学カップ」という企画が開催されています(5月17日(月)まで)。書店員有志による「紀伊國屋書店ピクウィック・クラブ」が企画。岩波文庫の古典(『イーリアス』とかね)から最近の訳書まで、目眩がしそうです……。小社のアティーク・ラヒーミー『灰と土』が選ばれています。店頭の棚には全書目について書店員さんによるコメントが付されていますが、それらをまとめたブックレットが以下の写真。店頭で配布されていますが、「ピクウィック・クラブ」のブログ記事からDLもできます。全64ページ。


そのブログの2010年03月31日の記事に「解説者による戦力分析:白水社藤波さん・鈴木さん」とあって、同じラヒーミーの『悲しみを聴く石』を手掛けられた鈴木さんが『灰と土』に言及。熱く語っておられます。勝手に引用。勝手に太字強調。

《鈴木:(…)ところでアフガニスタンもエントリーされていますが、インスクリプトから出たアティーク・ラヒーミーの『灰と土』を読んだ時は、ひゃーっと思ったんですよ
藤波:「ひゃーっ」か。
鈴木:何だこれは、と思って。不思議な二人称小説なんですよね。「きみは…」っていう語り方。我々が小説とはこういうものだって思っているものとはすこし違って、精霊みたいな何かが語りかけてくるんです。100ページくらいの詩のような小説なんですが、ソ連侵攻後のアフガニスタンの厳しい現実を捉えていて……。男の子がね、爆撃のせいで耳が聞こえなくなってるんですけど、戦車がみんなの声を奪ったと思い込んでいるんです。「何でみんな喋れなくなっちゃってるの」って。ほんとうに全然雄弁な小説じゃないんだけど、すごく印象的な映像と言葉を突きつけられるっていう感じの作品です。そんなに売れなかったかもしれないんですけど、これは絶対にずっと店頭に置き続けて下さい! 同じ作家が亡命先のフランスで、今度は初めてフランス語で書いた『悲しみを聴く石』という本を昨年出したんですが、こちらもお薦めしたい一冊です。『灰と土』にずっと書店で残っていて欲しいなという想いもあって、この本を出したんです……。》

多謝。『灰と土』、小社には在庫たくさんあります。買ってください。



ところで、同店5階人文書フロアでミシェル・フーコーのフェアが展開されていて、それはそれで結構なのですが、「悪の哲学者 フーコーのフェア」というタイトルはいかがなものでしょうか? いまもって「呪われた」哲学者扱いでしょうか? 『聖フーコー』復刊すべきでしょうか? バタイユならば100歩譲って許容しますが、フーコーにこんな呼称は100000000歩譲ってもあり得ないと思います。フーコーにそれなりに愛着と関心を覚える者のひとりとして、見るにしのびありません。



【追記】ちなみに、斜向かいのジュンク堂書店新宿店では、「ピクウィック・クラブ企画《ワールド文学カップ》@紀伊國屋書店新宿本店・便乗企画《ディアスポラ文学フェア》」が開催中(7F23番フェア棚、4月30日(金)までを予定)。「便乗」って私が言っているんじゃないですからね(こちら参照)。